トラスロッドについて

ギター始めて20年、ずっと私はトラスロッドのしくみを勘違いしていました。それについてお話するとともに、最近の簡単なロッド仕込法についてご紹介します。
私はずっと、上図のようにロッドがネックの中でグリグリ回ってネックの反りを補正するものと思っていました。
実際はこのように”引っ張る”ことにより補正します(トラディショナルなロッドの場合)。レンチで廻すのはロッド本体ではなく、ロッドを引っ張るナット類を廻していたんですね。つまりロッドは逆反り補正はできない、また何度も補正しているうちに両端が木に食い込んで効かなくなってしまうことがわかります。
またトラディショナルなロッドは上図のように大変手間の掛かる仕込法をしているそうです。まず(1)のように予めアーチの付いたチャンネル(浅い所と深い所で約3mmの高低差)を彫り、これに「えいやぁ〜」っとロッドと埋め木を埋め込み(ちなみにオールドフェンダーは指板とネックが一体モノの為、ネックの裏から埋め込んでます。そのため埋め木が露出しています。)、ロッドの弾性で(2)のように逆反りさせ、最終的に弦のテンションで(3)のようにまっすぐになるようにしているそうです。チャンネルはアーチがありしかも隙間なく作らなければならず、一歩間違えばまさに「デクの棒」です。すごく難しいですね。自作は諦めましょうか・・。
そこに救世主が現れます。ダブルアクションロッドです。上図のように固定軸と回転軸の両端が直方体のブロックに接続されています。回転軸を廻すことによりバイメタルのようになり、順反り・逆反りどちらも補正できます。でもこのロッドの最大のメリットは工作が楽なことです。チャンネルはフラット、多少広くても狭くても大して問題ありません。ネック整形の際、削りすぎてロッドが”こんにちは〜”なんてことも少ないです。これにより私のような初心者にもネックが作れるようになった訳です。
尚、ダブルアクションロッドも欠点が無い訳ではありません。サウンドキャラクターについては私は素人ですので言及できませんが、ロッドが指板に直接当たる為、指板をしっかり接着しないと廻した際にパカンと剥がれてしまう危険があります。
【後記】
最近はカーボンロッドを併用あるいはカーボンのみが多いです。反りを補正しやすいネックよりも最初から反らないネックの方が良いに決まってますので(笑)。
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