ヴォリュームとトーン回路 TOP

 エレキギターに必ずといって良いほど付いているヴォリューム(Volume)とトーン(Tone)について超簡単にお話します。 プロのリペアマンからブーイングが来る知れませんが(苦笑)。
 最初に言っておきますと、どちらも別に無くてもよいのです。 多くの人は演奏中、ボリュームもトーンも時計方向一杯に廻して使っていると思います。これは「ヴォリューム回路もトーン回路も使っていない」のとほぼ同じです。ヴォリューム回路は音量を増幅しているのではなく抑制しているもの、トーン回路は何らかの音成分を、”付加”しているのではなく”除去”しているものだからです(もちろんこれはバッテリーを搭載しないパッシブ回路の場合ですが)
 とりあえず【図1】に最もシンプルなエレキギターの回路を示します。水色部分がヴォリューム、トーン回路です。
エレキの定番といえばストラトとレスポールであり自作派もこの回路を最初に参考にすると思いますが、実はこの2機、エフェクターが発達しておらずギター本体側でいろんな音質を得ようとしていた1950年代の製品の為、回路(特にトーン回路)がちょっと複雑になっています。
 【図1】のヴォリューム、トーン回路の実配線図を【図2】示します。ヴォリュームもトーンも3本足の可変抵抗器(Potentiometer、略してPOT)を使っており、更にトーンは2本足のキャパシタ(コンデンサとも言う)を使っています。
動作は同じですが、レスポールは【図3】のような配線法です。キャパシタが2つのPOTの回転止めも兼ねているのでしょうかね? 他にも同じ動作で数パターンの配線法ができると思います。
 抵抗器が電気信号を抑制するものであることはご存知でしょうが、キャパシタは?と言いますと、直流の電気は通さずに貯えるのですが、交流の電気は通す(それも特定の周波数の交流を通す)という不思議な特性があります。ご存知だと思いますがピックアップから送られてくる電気信号も交流ですので、【図1】の回路のように配線すれば特定の周波数成分はキャパシタを通り、アースに流れ除去されます。尚、抵抗器と違いキャパシタは小型で可変のものが簡単に作れない為か、【図1】のようにPOTを介してキャパシタに流れる電気の量を調整するのが一般的です。
 キャパシタは基本的に2枚の平行な金属板(あるいはそれを丸めたもの)であり、その単位(静電容量)はF(ファラド)です。静電容量は金属板の面積に比例し、金属板間の距離に反比例しますが、金属板間に挿入された充填物の電気的特性も大きく依存します。キャパシタの製造技術の進歩で、同じ静電容量(例えば0.022マイクロファラド)でもいろんな種類があり、外観もまちまちです。マニアは50年代当時と同じキャパシタを何千、何万円も掛けて買うようですが、私は1個10円のセラミックコンデンサやマイラコンデンサで満足しています(笑)。
 尚、Potの抵抗値(Ω:オーム)はフルヴォリュームにしてもゼロにはなりません。そのためフルボリューム時に別の接点をオンさせ、POTをバイパスさせている商品もあります。ヤマハSGのダイレクトサーキット等です。響きはカッコイイですが、何てことはない、ヴォリュームPOTを使わないのと同じです(苦笑)。
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