アースについて

エレキギターの回路の話をすると、あちこちにアースという言葉が出てきます。接地とかグランド、GNDとも言います。これについて簡単にご紹介します。

まず、具体的にアースと言われる箇所を下の写真に示します。
具体的には、
1)アウトプットジャックの2本の配線(3本のものもありますが)のうち外側
2)POT(可変抵抗)の裏側にびっしりハンダ付けされた電線
3)コントロールキャビティ内面の黒い塗料や金属箔
4)トレモロのスプリング金具にハンダ付けされた電線
等です。これらはすべて電気的に繋がっています。

また回路図では【図1】のように省略されて描かれます。
元々は不要な電気を地中に逃がすという意味でアースとかグランドと言っています。アースといっても地面に棒を埋め込むのではなく、これらは皆、ジャックに繋がっています。アンプの内部にあるアースに接続されているイメージです。
 アースの目的はいろいろあるのですが(感電防止等)、エレキギターの場合安定動作と配線作業のシンプル化の為にあると私は考えます。
 【図2】は一番簡単なエレキギターの回路です。ピックアップからの配線2本をアウトプットジャックを経て直接アンプに繋ぐだけです。
でもピックアップが複数の場合、【図3】のように切替スイッチが必要になります。
ここで【図4】のようにピックアップの配線の片方を共通化するとスイッチが一つになり配線も簡単になります。
この共通部分がアースと呼ばれるものです。アースは各ピックアップからの電気信号の大きさを明確にするための共通の基準点にもなります。
尚、実際の配線図ではアースは【図5】のように省略されて描かれるのが一般的です。
実際のエレキギターは更に多くのピックアップがあったり、ヴォリュームやトーン回路があり複雑ですが、【図6】のようにアースを設けることにより設計も配線作業も随分と簡略化できます。

実際の配線では上の写真のようにポットの裏面を利用する場合が多いです。

もう一つ、アースの重要な役割にシールド効果というものがあります。
回路をアースした導電性の箱の中に収納すると、外来の電磁波によるノイズから守ってくれます。これをシールド効果と言います。上の写真の黒い塗料部分は、導電塗料を用いて「アースされた箱」を作っている訳です。
尚、ギターのケーブルを”シールド”と呼びますが、信号線の回りをアースされた網線が覆っており、シールド効果により信号線をノイズから守る構造になっているからです。
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